不動産を相続した場合を除き、大家さんで成功するのは難しい。
私がこのことを書く理由は、長く建築業界にいるから。
私が初めて就職した会社は 総合建設業 いわゆる”ゼネコン”でした。全国的に名前は知られていませんが、地元では県名のつく銀行と並んで、大きな会社でした。
誰かが発注するマンションや事務所ビルなどを、受注するのではなく自ら企画したマンションを売る。
そんな会社の新しい部署、ある住宅部門に配属されました。
業界にいらっしゃらない方も、分譲マンションよりも賃貸マンションの方がお金がかけられないことは想像がつくかと思います。東京であればお金持ち向けに、高価な賃貸物件もありです(借り手がいるから)。でも地方では、その商売は成り立ちません。つまり、賃貸用にマンションを建てる時点で、そもそもの単価が安くなります。安かろう悪かろう材料が使われる可能性は高い。これを、中古物件なら割安だからと購入して成功するのか?
話は戻り、ゼネコン時代、ある住宅部門の業務の流れは、「この土地にマンションを建てたい、最大何戸できるか?」その問いに答えるもの。
例えば12戸だとして、3戸並びの4階建てなのか、4戸並びの3階建てなのか。
結論をまとめ、目安のイメージ図なども添えて、営業担当に返していました。
持ち込まれる話の多くは、資産運用をされたいお客様がいる、と銀行からの紹介です。が、しかし、よくもまあこんな
「難条件」
の土地を持っているものだ!と驚く土地ばかり(笑)
このとき、学生時代を含め10年ほど建築業界にいた私は、悪い意味の業界用語をたくさん知りました。
- 急傾斜地崩壊危険区域(最近は災害も多くよくきくようになりましたが)
- 高圧線下地 など
要は、
- 何の条件もない
- 問題なく建物を建てられる土地
を銀行が持ってくることがないのです。上に挙げた二つの条件はどんなに広い土地を持っていたとしても、建物を建ててはいけない範囲があります。
効率的に建物を建てることはできないし、果たしてそのような条件の悪いマンションを
借りたいと思う方がいるのか? という問題もあります。
そんなわけで、何も知らない素人には難しい大きな問題も、契約書には
建築条件
という項目に、とっても小さな文字で、書かれてあるだけかもしれません。
不動産投資は、素人がやって儲かるのか?というお話しでした。